(実話)会社を辞める手続きをしていたら、嫌いだった上司が良い人に見えてきた話

仕事やお金

今でこそ自宅で仕事をしているわたくしですが、以前はバリバリの社畜でした。

残業や休日出勤は当然、単身赴任や長距離通勤にも何ら疑問を持たずに仕事をこなすスーパー社畜サラリーマンです。

そんな生活に嫌気が差したということと、子供のことや将来のことを考えた結果、会社を辞めることを決断しました。

今回は、私が「会社を辞めます」と社長に伝えたときのことを書きました。

これから会社を辞めてやろうと目論んでいる人の参考になればと思います。

まずは担当上司に伝えた

会社を辞めようと思った時点で、私は一応「管理職」だったため上司はいきなり役員になります。

もし平社員であれば担当の課長に話をすれば良いだけなので割と気楽なんですけど、いきなり役員に仕事以外のプライベートな要件でアポを取るっていうのも緊張するものです。

ただ「どうせ辞めるんだし、関係ねーか」って感じで、最終的には気軽にアポを取ったんですけどね(笑)

まずは担当役員に「会社を辞めようと思ってます」って伝えました。

その役員さんは、取り敢えず一応の驚きを表現した後、いろいろ質問してきます。

「体の調子でも悪いのか?」

「なぜ、辞めるんだ?」

「辞めて、何するんだ?」

といった、想定問答どおりの質問に一通り受け答えをした後

「私から、社長に話をとおしておく」ということになりました。

役員室を出て自分の席に戻ると、しばしの時を置いて今度は社長から内線がかかってきました。

「ちょっと来てくれるか?」

「はい」

振り返ってみると、社長と1対1で話をするのは初めてかも?ということに気づき、少し緊張しながら社長室へ向かいました。

もともと社長とは性格的に合わなかったので、どちらかというと嫌いな人でした。たぶん向こうも私のことは好きではなかったと感じていたので緊張も更に高まるというものです。

ただ「どうせ辞めるから、関係ねーか」と思いなおし、社長室の前に着いたころには微塵の緊張感も持ち合わせてはおりませんでした(笑)

社長室で社長と話をしました

担当役員のときと同じような質疑応答ののち、社長から怒涛の慰留攻撃が始まったのです。

たぶん、けして、私が優秀だとか、どうしても我が社に欲しい人材だとか、そういうことでは無いんですけどね。

もしも私が本当に優秀な人材として会社から評価されていたのなら、もっと出世してたはずなので。

まあ、思うに「一度は慰留する」っていうマニュアルがあるんでしょうね。

でも、まあ、マニュアルどおりだったとしても

「君が今年から始めたプロジェクトについては、来年度も中心になって続けて欲しかった」とか

「今年の業務状況の改善は君のお陰だと思っている」とか

こういうこと言われ慣れてないので、正直うれしかったです。

社長、サンキューベリマ

とか思ってたら、社長から「1週間ほど時間をやるから、よく考えてみてくれ」って言われちまった。

え?何を今さら考えるんですか?

とも思ったのですが、なにぶん社長の褒め殺し作戦で骨抜きにされていたので

「はい、よく考えてみます」と心にもない言葉を発し社長室を後にしたのでありました。

結局は辞めることになった

そりゃそうだ!っていう話なんですけどね。

辞めるという覚悟を決めていないのに担当役員や社長に「辞めます」なんていう話をするわけないじゃん!ってことです。

いまさら社長から慰留され考え直せと言われても、もう止まらない。

で、結局は辞めるということになり辞職願いを提出する運びとなりました。

ところで、テレビドラマなどでは「辞表」という表現がされていますが、実際には「辞職願い」っていうのを出すんです。

なぜ「~願い」なのかって知ってました?

自分の意思で辞めるわけですから、何も会社にお願いすることなんてないような気がしますよね。

実は違うんです。

自分で辞めるという意思を表明した場合、辞職という扱いになります。

ただ、会社側からすれば、社員だったときに何か不正なことをしていないかを確認する必要があるんです。

もしも、横領や横流しなど会社に損害を与えるような不正行為があれば、退職金の支給される「辞職」ではなく、退職金のない「クビ(免職)」にしなければいけないからです。

つまり、辞職願の提出を受けた会社は、辞職させても良いかどうかを審査(調査)したうえで、「辞めてもいいよ」って許可をする仕組みなんですね。

辞めるまで社畜です。

嫌いだった社長を見直した瞬間

数か月後、めでたく辞職が許可されて会社を辞めることになりました。

その許可通知書を社長から渡されたのですが、そのとき社長から、

「来週の空いてる日でいいから一杯付き合ってくれ」と言われました。

今月末には会社を去っていく人間と一緒に酒を飲んで何が楽しいの?

まさか、どうせ辞めるやつだからと、いろいろ攻撃されるんじゃないか?

などと警戒しつつも「どうせ辞めるから、まあいっか」ということで快諾。

実際に社長と1対1で酒を飲んだのですが、社長はひたすら私の不平不満や疑問を聞き出すことに全精力を傾けていました。

私も「どうせ辞めるんだし」との思いも手伝って好き放題を言いました。

恐らく、社長にしてみれば耳の痛い話が山モリだったと思います。

でも、社長が最後に私に語った言葉は

「今日は貴重な話が聞けてよかった、ありがとう。」でした

「辞める人にしか言えないような、率直な話を聞きたかった」のだそうです。

この人のこと嫌いだったけど、最後は尊敬できて良かったなという話でした。

ぼっちー
社長、サンキューベリマ