以前、ネット上で話題になった「バルス」
ご存じのとおり、宮崎駿監督作品「天空の城ラピュタ」のクライマックスシーンで主人公が叫ぶアレです
過去にラピュタがテレビ放映される際には、Twitterでバルスが盛り上がりすぎて危うくシステムダウンの危機まで招いたことが話題になりました
本当に滅びの呪文になるところでしたね
つい先ごろ、日テレがこの映画を久々にテレビ放映したときに、「バルス祭り」と称して2匹目のドジョウを狙ったことでも有名なヤツです
それにしても疑問なのは
ヒロインのシータが護衛ロボット(?)を呼び起こす呪文(正確には聖なる光を復活させる呪文です)が
「リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール」
とクソ長いのに、天空の城を粉々に滅ぼす呪文が、たったの3文字とクソ短いこと
シータが、パズーの作ったトーストエッグを食べてチョットしたジョークで「おいしいバルス!」とか言っちゃうと、ラピュタがガラガラと崩壊してしまう危険性もはらんでいるわけです
などと、くだらんことを書いてますが
ちょっと真面目に、なぜ滅びの呪文がバルスになったかのか?を考えてみました
以前の作品から見られる傾向
宮崎駿監督作品では、昔から呪文や伝承の言葉的なものが数多く登場してきます
風の谷のナウシカでは、「青き衣をまといて、金色の野に降り立つべし・・・」というのが有名ですね
そして、それらは一様に「長い」のが特徴でもありました
聖なる光を復活させる呪文「リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール」も例に漏れず長い!
なのに、なぜか「バルス」だけが短い
これは、恐らく製作者サイドの都合というか、演出上の理由です
バルスという呪文は、最後のクライマックスシーンでパズーとシータが「叫ぶ」呪文です
いってみれば、必殺技みたいなもんです
言い換えれば、決めゼリフとも言えるわけです
その必殺技の決めゼリフを「叫ぶ」のです
そう!叫ぶ
だから、「リーテ・ラトバリタ・ウルス・・・」的な長いフレーズではなく
「バルス!」という短いフレーズにしたものだと推察されるわけです
一般的に「叫ぶ」ときに多く使われる文字数は1~3文字と相場が決まってます
なんちゃらビーム!
ライダーキーック!
などが良い例です
ポイントは叫ぶ部分が3文字であること
カメハメ波~!は、5文字ではなく「ハー!」の部分だけなので1文字ということになります
母音の問題
ただ、疑問だったのは、なぜ「バルス」なのか
大きな声で、ハッキリと聴き取らせるためには、母音が「う」や「お」で終わる言葉は避けるのが普通で、作詞をする人なら知ってる常識的なことですね
なのに、必殺技系の叫ぶ音はというと
ビーム=最終の母音は「う」
キーック!もチョーップ!も、全部「う」で終わる音です
そして、バルスも「う」ですね
ビームやキックやチョップは、もともとあった言葉を叫んでるわけですから致し方ないないのかもしれませんが、
バルスは宮崎駿監督の造語です
なんで、わざわざリズムが悪く、聞き取りにくい造語を「決めゼリフ」に設定したのかがナゾ???
ちなみに、ラピュタのヒロイン「シータ」の名前は、サイン・コサイン・シータから取ったものとの話を宮崎監督本人が過去のインタビューで語っています
割と、ネーミングは適当なんですね
バルスも、もしかして「ばらす」→「バルス」みたいな適当な話かもしれません
一説には、諸星大二郎作の「マッドメン」から引用したのではないかという有力説もありますが、真相は不明
いずれにしても宮崎駿は天才
いずれにしても…
あのクライマックスシーンを初めて観たときの「ずっこけ」感は中々のものでした
いよいよ滅びの呪文を唱えるぞーって
溜めて、ためて・・・
今でこそ、バルスが浸透しましたが、最初に聞いた時の違和感は半端ないものでした
ただ、逆にその語呂の悪さというか音の不自然さが耳に残って、Twitterを本当に滅ぼしそうになったのですから
宮崎駿はやはり天才なのかもしれないです