最近では女性の社会進出も進み、さらに政府の女性登用促進政策の後押しもあって、女性の幹部や管理職が増えてきました。
しかし、ネット上では「女性上司と上手く付き合う方法」だとか「女性幹部はヒステリック」だとか「女を武器にしている」といった悪いイメージの話がてんこ盛りです。
日本の経済社会は長らく男性主導型で発展してきたので、女性登用に対するこのような妬み・僻み・嫉みが出てくるのは致し方ないことかもしれません。
課長が女性で部下がおっさんという構図だと、どうしても「おっさんの頭の中に固着した古めかしい考え方」によって、上下関係に「ひずみ」や「ゆがみ」が生じてしまいがちです。
このようなことが原因となって、優秀な女性たちが女性登用によって幹部に推薦されても、自分の昇進に腰が引けてしまうという現象を引き起こしているともいえます。
ということで、女性の管理者が管理職として上手く仕事をしていく方法などを、私の経験に基づいて記事にまとめました。
私の経験
私は現在、脱サラして自分の事務所を運営しているのですが数年前まではサラリーマンでした。
その当時は部下8名ほどのセクションで課長をしており、そのときの私の上司(第一課長)が女性だったので、女性管理職に対する部下の気持ちと、女性が管理職をする上での難しさと切なさと心強さと♬的な部分はよく理解しているつもりです。
部下の目線と管理職として陥りやすいポイントなどを書いていきますので、最後までお付き合いくださいね。
なぜ女性登用が必要なのか
そもそも、女性登用の必要性は日本政府が言い出しっぺではなくて、以前から世界中で唱えられていたことでした。
仕事や職種の多様化に伴い男だけでは太刀打ちできない仕事が増えてきたということも理由のひとつではありますが、一番の理由は何といっても人口減少による労働力不足です。
日本のように『男は外、女は家』という風習が根付いていた国では、これまで家の中に眠っていた女性の能力が貴重な労働力であることは、もはや否定できない現状なのであります。
女性登用が必要だと考えられているのには、もう一つ理由があります。
それは「何やかんや言っても、女性の方が優秀な人が多い」ということです。
小中学生の頃を思い出してみてください、クラスや学年で成績上位を占めていたのは女子ではなかったですか?
私の中1になる娘の学年では、成績トップ10は全て女子生徒です。
私が以前勤めていた会社の入社試験でも上位は全て女性が占めていましたので、採用担当者が「女性ばかり採用するわけにいかない」と言って頭を抱えていたのを知っています。
それだけ優秀な人材が日本の古い慣習によって家の中に閉じ込められていたとすれば、大きな損失ではありませんか?
今現在は政府の方針なんかで女性登用が「義務」のような感じで行われていますが、近いうち自然登用でも女性の方が上位を占める日は近いのではないでしょうか。
管理職になると変わること
管理職になる前、プレーヤーとして活躍してきたあなたにとって重要だったのは、あなた自身の能力や経験値でした。
しかし管理職=マネージャーとなれば組織をマネジメントする能力が求められるようになります。
中でも、管理者になって初めて経験する仕事が「指示を出す」というものです。
管理者になるということは、ひとつのコミュニティーの責任者になるわけで、言い換えれば初めて「部下を持つ責任」が伴うわけです。
従って、管理者に求められるスキルの中で最も重要になってくるのが「部下から信頼を得ること」だと言っても過言ではないでしょう。
平易な言い回しをすれば、部下から慕われる上司になるという表現もできますよね。
では、どうすれば部下から慕われる上司になれるのか
ひと昔前なら、飲み会で部下の話を聞いてあげたり自分がプレーヤーとして積み上げたノウハウを教え込んだりすることで部下に慕われる上司になれました。
しかし、今のご時世プライベートを重んじる若手も多くなり、飲み会への積極的な参加は望めないのが実情でしょう。
しつこく飲み会に誘うと「うっとうしい上司」として逆効果になる恐れもあります。
もっとも、自分の若いころのことを振り返ってみれば、偉そうに自慢話をするおっさんとお酒飲んでも楽しくなかったですよね。
今の若い人たちに限らず、いつの時代も上司というだけでうっとうしい人なのです。
では、どうすれば部下に慕われる上司になれるのでしょうか?
そのために必要なスキルは「統率力」と「信頼感」
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統率力は判断力
統率力と聞くと、力技で部下をねじ伏せて引っ張っていくようなイメージがありますが、そういう手法は時代遅れも甚だしく、表面上は部下も言うことを聞いてくれますが組織的には疲弊していきます。
上司であるあなたの顔色ばかり伺う部下たちは、いつしかあなたのご機嫌伺いに気を取られ過ぎて下手をすれば仕事はそっちのけになる人も出てくるでしょう。
ここで必要とされる統率力というのは、部下が仕事を進めるうえで明確な舵取り役になることなのです。
管理職になれば、ひとつの仕事について「以前と同様の方法」で進めるのか、それとも「新たな方法でチャレンジ」するのかという決断を迫られる場面が多くなります。
往々にして、新しい方法を採用しようとすると部下から反対意見が出ます。
その多くは、新たなチャレンジによって負わなければならなくなる多くのリスクを訴えかけてくるものです。
そのときに、あなたは「何かあったら私が責任を取る!」と言い切らなければならないのです。
私が責任を取るから君たちは安心して新しいことにチャレンジすればいいよ!って。
今まで真っ直ぐ平穏に走っていた舟を大きく旋回させるわけですから、みんな不安なのです。
しかし、いつまでも真っ直ぐに走っていたのでは新しい成果は見込めません。
そんなときに、しっかりと舵を切れる船長であればクルーからの信頼も得られるというものです。
そうやって切られた舵の方向、ひとつの目標に向かって団結して進む組織を作ることが統率力なのです。
リスクや不安に対して分析と責任を持つ覚悟で舵を切れるかという「判断力」が統率力を得るためのスキルだとも言えます。
信頼は責任感と決断力
統率力の部分でも触れたように、新しいことには不安やリスクがつきものです。
そんなときに「私がやるって決めたんだから、つべこべ言うな!」っていう上司は決断力があるけど信頼を得ることはできないものです。
信頼を得るためには、先に述べたような不安やリスクを分析し、十分な対応策も準備の上で舵を切らなければいけません。
そういった事前の分析を充分にできるかどうかが、適切な判断ができる上司かどうかの分かれ道でもあります。
不安がる部下たちを説得できるだけの対応策を用意できなければ、あなたは単なる無謀な暴君と化すでしょう。
Aが良いのかBが良いのかを判断するための正しい「判断力」というスキルが、あなたの信頼を高めていくのです。
もっとも、どんな仕事でも「やってみなければ分からない」という面はありますので、常に正しい判断をすることは不可能です。
どちらが正しい選択なのか分からないようなときでも、あなたに任せておけば大丈夫だという信頼を得ていれば部下は迷うことなく仕事を進めることができます。
迷いなく進めることは、良い結果につながる確率を上げる効果もあるのです。
仮に、結果がうまくいかなかった場合でも「本当にこれで大丈夫?」という迷いが生じない状況であれば「最善を尽くした」と納得できるものなのです。
正しい判断というのは、仕事で良い結果を出すということよりも、うまくいかなかったときに納得できる方法を採ることだとも言えるのではないでしょうか。
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管理職なんだから…と言われ
管理職になると、それまで接点のなかった上位の役職の人間とも接する機会が増えてきます。
そして、たびたび「君も管理職になったんだから…」という枕詞を連発され計り知れないプレッシャーを掛けられます。
私も管理職になった直後にこの言葉を掛けられ、何とも言えないプレッシャーを感じまくってました。
しかし、この「管理職になったんだから」という言葉は捉え方しだいでポジティブにもネガティブにもなる言葉です。
大事なのは、「管理職なんだから」の後に続くフレーズをどの様に考えるか。
例えば「管理職なんだから」に次のようなフレーズをつなげてみると
~部下の面倒をちゃんと見ないといけない
~仕事で今まで以上の成果を出さないといけない
~自分だけでなく部下の成績も気にしなければいけない
~組織全体のことも考えて仕事を進めなければいけない
超ネガティブな気分になりませんか?
いやいや、自分は良い緊張感が持ててヤル気がみなぎってきたZ!っていう人もいるでしょうが、そういう人は超ポジティブかマゾです。
普通はプレッシャーしか感じませんよね。
なぜなら、ここに挙げたフレーズは全て管理職の「責任」を表すフレーズばかりだからです。
自分がこれから背負う責任のことばかり考えてしまうと、誰だってプレッシャーを感じます。
一方、「管理職なんだから」の後に、こんなフレーズを続けてみたら、
~自分の判断で組織運営ができる!ヤッホー
~今まで1人では出来なかったことが組織的にできるようになる!イエイ
~今まで話もできなかった重役たちと話がしやすくなる!ウェイ
~対外的にも、ちょっと偉い人として扱ってもらえる!ラッキー
ちょっと、明るく前向きな気持ちになりますよね。
これは、語尾にイエイとかウェイとかの掛け声を入れてるからではないのですよ。
ここに挙げたフレーズは、いうなれば管理職になって手にする「権利」を感じさせるフレーズなのです。
平社員は、ある程度の自己責任はあるものの、基本的には上司の指示監督のもとで仕事をします。
そこには十分な自由度や裁量権はほぼ存在しません。
一方、管理職になれば、自分が管理するセクションにおいての裁量権はあなたに帰属します。
つまり、自分の考え得る「良い方法」で仕事を組立たり進めたりする「自由」を手にするわけです。
こういった自由や権利を手にする代わりに、当然ながら責任も伴うのが管理職なのです。
最後にひとこと
あなたの上司は、あなたの仕事の手伝いはしてくれません。
当たり前のことですが、
あなたの仕事は部下がします。
だから、あなたは
あなたと上司との関係よりも部下との良好な関係を意識した組織運営を目指しましょう。
そうすれば、あなたが管理するチームは自然に成果を上げていきます。
成果が上がれば、あなたと上司との関係も自然に良好なものとなるでしょう。
男性でも女性でも、初めて管理職になれば最初は相当なプレッシャーの中で仕事をすることになります。
「責任」の部分ばかり意識しすぎると潰れてしまうので、たまには素に戻ってリフレッシュしながら、良い仕事ができる環境と精神状態を維持しましょう。